海軍

「海軍」、北大路欣也三田佳子ほか出演、村山新治監督、東映、1963

北大路欣也兵学校に入って、卒業するとまもなく日米開戦、特殊潜航艇の乗員になって戦死、というお話。題名どおり海軍の話なのだったら、兵学校の様子(これはちゃんと江田島でロケをやってる)をもっと詳しく描くとか、訓練の様子をきちんと撮るとか、海軍の生活をちゃんと描写してほしい。一方話の半分は北大路欣也三田佳子の恋愛話になっていて、こっちは三田佳子のおさげ髪とか、いきなり三田佳子のほうから告白とか、いくつか見所はあるものの恋愛映画というにはあまりに話が淡白。そして、北大路欣也が戦死してから後がやたら長く、遺族が開戦の放送を聴いている様子とか葬儀(英雄なのでちゃんと海軍が葬式を出している)とか、えらく細かい。
この話、原作からかなり改変されているということだが、新藤兼人脚色ということなのでそれも納得。「戦争映画」にはしたくなかったということなのだろう。しかし結果として非常に中途半端な映画になってしまっていることは確か。見るところといえば、三田佳子の若い姿と、いまの役柄と全然違う千葉真一くらいか。