雁の寺

「雁の寺」、若尾文子、高見国一主演、川島雄三監督、大映、1962

確か前に見たはずなのだが、断片的な記憶しかなく、ストーリーはほぼ忘れていた。水上勉の原作は未読。俗物の和尚と妾、小僧の三人の愛憎の話。若尾文子はほどよくエロいが、あまり下品でないところがいい。小僧慈念役の高見国一、和尚慈海役の三島雅夫は非常によい。和尚の俗物とスケベっぷりはピタリとはまっている。ちょっと市川雷蔵「炎上」と印象がかぶるところもあるが(水上勉はこれとは別に、金閣寺放火事件を題材に小説を書いている)、こっちの話のほうがおもしろいと思う。パートカラーで、最初のシーンと最後のシーンだけがカラー。タイトルになっている雁の襖絵と、それに群がる観光客らの猥雑な場面に色がついていて、いい効果になっている。