右と左

ノルベルト・ボッビオ(片桐薫、片桐圭子訳)『右と左』、御茶ノ水書房、1998

副題「政治的区別の意味と理由」のとおり。右翼と左翼の違いを「平等主義に対する態度」に求める仮説には説得力がある。しかし、展開不足の感じは否めない。左翼についてはそれで説明がつくとして、右翼は「平等に対して否定的」というネガティブな姿勢で説明できるだろうか。自由に対する極右と穏健右翼の態度はかなり違うが、それに対する説明は。総じて、左翼については説明がついているものの、右翼についての説明はうまくいっていないような気がする。文章は原文がむずかしいのか、訳に問題があるのかどちらかはわからないが、非常に読みにくい。