目玉の学校

赤瀬川原平『目玉の学校』、ちくまプリマー新書、2005

赤瀬川原平が「目でものを見ること」について、いろんな観点から書いた本。これは非常におもしろかった。錯覚、ステレオ写真トマソン、絵画といったものをネタにして、目で見るということはどういうことかについての著者の考えがいろんなやり方で展開していく。それが同時に美術をやる人がどういうふうにものを見ているのかを教えてくれるし、著者自身の美術史にもなっている。それが美術とはどういうものなのかを考えさせることにもつながる。最後の節のタイトルは「目はただでは見えない」となっている。力が衰えてはじめて見えてくるものがあるということは、ある意味とてもたのしみなことだと思う。