マネーロンダリング入門

橘玲マネーロンダリング入門』、幻冬舎新書、2006

マネーロンダリングについての過去のさまざまな事件と基本的な手口を紹介する本。このテーマだといくらでも大部の複雑な本を書くことができると思うが、著者は非常に手際よく、読みやすいようにまとめることに成功している。とりあえずアメリカによる北朝鮮金融制裁のしくみがやっと納得できたことは収穫。新聞を読んでいても、こういうことについてまとまった解説記事がまったくでないのはどういうことか?最後の章で、租税回避のさまざまな手段はマネーロンダリングにそのまま適用できるもので、国際市場での自由な資金移動を前提にすると、これを避けることができないことが示される。素人向けの発展的な読書案内がもうちょっと充実しているとさらによかったのだが。