BS1スペシャル 密航ウイグル族を追って

BS1スペシャル」、「密航ウイグル族を追って~バンコク爆弾テロの深層~」、NHKBS1、2016.1.22


中国から密航するウイグル族の取材番組。中国から出国してどこに行くかといえば、トルコ。トルコにウイグル族の町ができていて、2013年ごろから年間8000人くらいの人が流入している。トルコでは、政府や支援団体が援助してくれるので、生活できている。

トルコまでの経路は、まず中国南部に移動し、そこから陸路ベトナムに密出国。さらにラオスカンボジアなどからタイへ。そこで偽造パスポートを入手し、マレーシアへ。そこからは空路でトルコへ。住民の一人は、密航には1年、500万円かかったと言っている。ほかの子供は、タイでは警察に捕まって収容所に入れられたが、脱走。それ以来父親とは離別状態。

中国のウイグル政策が紹介され、2009年のウルムチ暴動と共産党の事態処理、その後の共産党の政策が述べられる。中国にとどまっているウイグル族は、「怖いから言えない」と何も言わないが、トルコに逃げたウイグル族は何でも話す。ヒゲや、ブルカの着用は禁止。礼拝も厳しく制限。礼拝したことを密告されて刑務所で拷問されたり、3人目の子供を妊娠して強制的に堕胎手術をさせられた。親族が国外逃亡すると、中国に残った親族には当局の監視がついて、逃げた者に中国に戻ることを説得することを強要される。

ラジオ・フリー・アジアの記者は名前を出しているので、中国に残っている兄弟を拘束されている。アメリカ政府の報告書でも、人権侵害は指摘されているが、近年はウイグル族のテロ事件が続発。

では、なぜウイグル族バンコクでテロを起こすのか。対応した弁護士の話では、タイ政府が入国したウイグル族を中国に送還したことが理由。タイ・マレーシア国境でウイグル族350人を拘束。タイは、中国とトルコの両国から圧力を受け、うち200人はトルコ出国を認められたが、残りは中国に送還された。アメリカやヨーロッパ諸国の政府は抗議したが、反応はなし。

トルコ在住のウイグル族は中国在外公館にデモをかけるだけでなく、一部は中国に対して武装闘争に加わるようになっている。トルコでは軍事訓練は受けられないので、シリアにわたって軍事訓練を受けると言っている。実際にヌスラ戦線の一部に加わっているウイグル族部隊のビデオが映っている。トルコの小学校に通うウイグル族の子供は、「大きくなったら戦士になり、中国人と戦う」と言っている。

アメリカの国務次官補は、「平和的な抗議者や穏健なイスラム教徒を弾圧すれば、彼らは過激派に走る」と言っている。