マンガで読む 嘘つき中国共産党

辣椒『マンガで読む 嘘つき中国共産党』新潮社、2017


タイトルだけ見た時は読まないでいいと思っていたが、よく読まれていて比較的まじめなものだと聞いたので読んでみた。内容は、中国の「反体制運動家」の主張。

著者はマンガ家なので、巻末の対談以外はすべて4コママンガ。ペンネームは、「変態辣椒」。激辛唐辛子というようなもの。日本語で「変態」だと意味が違うので、そこは変えてある。

一読して、これは日本では非常に受けるが、中国だと相当危ないし、これについていける人ばかりではないだろうと思う。とにかく、標的が習近平その人というのが危ない。これを中国で描いて発表するというわけにはいかないだろう。実際に著者は警察(国内安全保衛=政治警察)に引っ張られて、留置されている。

それで帰ってこられたわけは、著者のネットへの書き込みで、警察に電話がじゃんじゃんかかってきたから。中国の警察も、そういう圧力には弱いのだということ。

内容としておもしろかったのは、習近平の妻、彭麗媛、抗日ドラマ・映画、春節聯歓晩会(日本で言う紅白歌合戦みたいな番組)。特に春節の番組は、中国人でないと意味が読めない。2016年の回はニコニコ動画で流れていたそうなので、今年もあったはずだが、ただの歌番組ではなく、ちゃんと政治宣伝の入ったコンテンツ。中国なんだから、それはそうだろう。

著者の主張はもうまぶしいくらい、独裁反対、中国を民主化せよというもの。まじめな人であることは確か。この主張が中国国内でどのくらい受け入れられるものなのかはわからない。しかし、こういう人の主張を受け入れる人がいるということは事実。著者は1973年、新疆ウイグル自治区出身(漢族)。ちゃんと本名も出している。