徹底討論 どうする!?どうなる!?「北朝鮮」問題

森本敏田原総一朗『徹底討論 どうする!?どうなる!?「北朝鮮」問題』海竜社、2018


1月に出た、森本敏田原総一朗の対談本。情報豊富でおもしろい。

北朝鮮との戦争があるかどうかについては、森本の見方はかなり慎重。とはいえ、ないとは言っていない。北朝鮮の誤算が5%、アメリカの誤算が5%、合計10%くらいの確率ではあるのではないかと言っている。当然、アメリカは戦争はやりたくなく、特に中国と話し合いができないうちに適当に戦争を始めるわけにはいかない。韓国も簡単に説得はできない。それを前提として考えれば、そういうことになるという話。

しかし、肝心なことは北朝鮮は核・ミサイル開発をやめることはなく、中断の可能性は低いということ。アメリカまで飛ぶICBM開発を放棄すればともかく、ここまでできているものを放棄できるのか。またアメリカとしては、CVIDしか許容できず、途中で制裁を中止して、その後で北朝鮮が核・ミサイル開発を再開すれば元の木阿弥ということになる。これは本書の中でも、否定はしていないので、かなり戦争に近い方に針は傾いているのではないのか。

もちろん、韓国と北朝鮮の南北首脳会談の話などは出てこない。しかし、南北首脳会談など実はどうでもよく、結局はアメリカの判断でしかない。問題は開戦理由をどのように工夫するかなので、韓国が何をしようと、それはそれで構わないし、その程度の時間先延ばしは織り込み済みということだと思う。