#アジア情勢

北朝鮮・絶対秘密文書

米村耕一『北朝鮮・絶対秘密文書 体制を脅かす「悪党」たち』、新潮新書、2015 著者は、毎日新聞の北朝鮮担当記者。記事はおもしろいので、期待して買ってみたが、期待に違わず良書である。 本の基本的な内容は、著者が北朝鮮内部から入手した、検察組織の捜…

ハダカの北朝鮮

呉小元『ハダカの北朝鮮』、新潮新書、2013 著者は50歳代の元朝鮮労働党幹部、日本生まれで、10代で北朝鮮に帰国、平壌の大学を卒業後、労働党傘下の貿易会社で働いた後、韓国への工作活動に従事。91年に韓国に亡命、現在は会社役員とある。 これ以上の経歴…

中国 真の権力エリート 軍・諜報・治安機関

野口東秀『中国 真の権力エリート 軍・諜報・治安機関』、新潮社、2012 著者は元産経新聞記者、中国特派員。この本が出版された時点で産経新聞は辞めており、その後2012年の総選挙に日本維新の会から出馬して落選。2014年の選挙には立候補していない。 本は…

北朝鮮をめぐる北東アジアの国際関係と日本

平間洋一、杉田米行(編著)『北朝鮮をめぐる北東アジアの国際関係と日本』、明石書店、2003 昔の本だが、今となってはもはや「珍本」の類。というより、出版された時点でおかしいでしょ、この内容は。 執筆者は、編著者の2人のほか、大津留千恵子、マーク・…

戦後日朝関係の研究

木村光彦、安部圭司『戦後日朝関係の研究 対日工作と物資調達』、知泉書館、2008 これは労作。戦後日朝関係を、「北朝鮮の日本からの物資調達」という側面から照射している。この観点は他の本には見られない、本書独自の業績。 北朝鮮からの物資調達は、北朝…

拉致ー国家犯罪の構図

金賛汀『拉致-国家犯罪の構図』、ちくま新書、2005 拉致事件を、北朝鮮の韓国に対する工作活動という「理由」の視点から見た本。この問題の基本文献のひとつ。 北朝鮮の対韓国工作活動の歴史が半分以上のボリュームを占めている。これは当然で、対韓国工作…

日韓・日朝関係の課題

荒井利明『日韓・日朝関係の課題』、日中出版、2005 著者は、読売新聞記者。ちょっと前に書かれた本だが、日韓関係と日朝関係を並列的に扱った本があまりないので読んでみた。 およそ9年前に出た本だから、載っている事実が今とは違うことは当然だが、それ以…

検証 日朝交渉

高崎宗司『検証 日朝交渉』、平凡社新書、2004 日朝政府間交渉の経過を、この本が出版された2004年の時点までまとめている本。類書があまりないので、事実関係を把握しておくには便利な本。 しかし、分析は基本的にほとんどなく、著者の政治的立場は、「植民…

未来世紀ジパング ニュースが伝えない北朝鮮

「未来世紀ジパング」、「ニュースが伝えない北朝鮮」 この番組、日曜日だけかと思ったら、もともと月曜日の放送で、日曜日の放送は再放送。今回は北朝鮮ネタ。見るしかないでしょう。 取材クルーが、実際に北朝鮮に行き、しかもよど号グループが生活してい…

未来世紀ジパング 謎の国・トルクメニスタン

「未来世紀ジパング」、池上彰SP第1弾「謎の国・トルクメニスタン」 BSジャパンの新番組。トルクメニスタン特集というので見てみた。 「中央アジアの北朝鮮」ということで有名なトルクメニスタン、今回の取材は、外国メディアのカメラ入り取材が許された珍し…

北朝鮮と日本人

アントニオ猪木、辺真一『北朝鮮と日本人 金正恩体制とどう向き合うか』角川ONEテーマ21、2014 これはつまらない本。アントニオ猪木の単なる自慢話である。 辺真一が、アントニオ猪木に質問するという体裁で書かれている対談本だが、辺真一の聞き方が悪いと…

金正恩の北朝鮮 独裁の深層

黒田勝弘、武貞秀士『金正恩の北朝鮮 独裁の深層』、角川ONEテーマ21、2013 黒田勝弘と武貞秀士の北朝鮮対談本だが…これはおかしい。トンデモ本とまでは言えないが、それに近いところがある本。 まず武貞秀士がおかしい。金正恩がその気になれば、北朝鮮は「…

金正日と金正恩の正体

李相哲『金正日と金正恩の正体』、文春新書、2011 金正日の生前、2011年2月に出版された本。この年の12月17日に金正日は亡くなってしまったので、ちょうどいい時期に書かれたことになる。著者は、龍谷大学社会学部教授。出身は中国で、日本統治時代の朝鮮の…

北朝鮮経済のカラクリ

山口真典『北朝鮮経済のカラクリ』、日経プレミアシリーズ、2013 著者は、日経新聞編集局アジア部次長。ソウル支局に2度駐在し、北朝鮮ウォッチ歴は15年とある。この本は、韓国情報だけでなく、中国側からの情報もよく使って書かれている。比較的新しい情報…

北朝鮮を見る、聞く、歩く

吉田康彦『北朝鮮を見る、聞く、歩く』、平凡社新書、2009 著者いわく、「北朝鮮の文化、芸術、市民生活を紹介しながら、同時に北朝鮮という国の過去と現在を語り、その本質に迫るとともに日朝関係の未来を語ろうというもの」という本。 著者は、自分なりに…

金正恩を誰が操っているのか

五味洋治『金正恩を誰が操っているのか 北朝鮮の暴走を引き起こす元凶』徳間書店、2013 タイトルは扇情的だが、内容を読めば「金正恩を誰かが操っている」と断定的なことを言っているわけではない。編集者と相談の上タイトルを決めているのだろうが、徳間書…

中国の海洋進出

海洋政策研究財団編『中国の海洋進出 混迷の東アジア海洋圏と各国対応』成山堂書店、2013 今年出版された中国の東シナ海、南シナ海への進出についての本。中国や東南アジア諸国の、特に南シナ海での対立状況がわかる第1章と第3章はそこそこに役に立つ。新し…

「反日」中国の真実

加藤隆則『「反日」中国の真実』講談社現代新書、2013 これは良書。著者は読売新聞中国総局長。 中国における「反日」の背後にあるものは何か、どういう経路で「反日」的態度が出てくるのかについて、丹念に取材して書いている。砂のような中国社会で人々を…

日米同盟 vs. 中国・北朝鮮

R.L.アーミテージ、J.S.ナイ、春原剛『日米同盟 vs. 中国・北朝鮮 アーミテージ・ナイ緊急提言』文春新書、2010 日経の春原剛が、アーミテージ、ナイの2人に質問をぶつけて、2人がそれに答えるというインタビュー形式の本。そういえば、刊行された当時は、小…

21世紀の中国 政治・社会篇

毛里和子、加藤千洋、美根慶樹『21世紀の中国 政治・社会篇』朝日新聞出版、2012 朝日選書で出ている『21世紀の中国』シリーズの第2巻。政治と社会を扱う。毛里和子が最初の4つの章、第18回党大会で選出された新指導部、政治制度(党、全人代、軍)、共産党…

海洋へ膨張する中国

飯田将史『海洋へ膨張する中国 強硬化する共産党と人民解放軍』角川SSC新書、2013 著者は防衛研究所の中国担当主任研究官。最近の中国による海洋進出の状況を簡単にまとめた本。 海洋の戦略的重要性、尖閣諸島と東シナ海問題、台湾、南シナ海問題、中国海軍…

BBCパノラマ:北朝鮮に潜入

「パノラマ:北朝鮮に潜入」(NORTH KOREA UNDERCOVER) LSEの学生訪問団にまぎれこんで、内緒で取材したということで話題のBBCによる北朝鮮取材番組。取材時期は、2013年2月の核実験の後、アメリカとの戦争をさんざん煽っている時期だ。しかし、ガイドや板…

北朝鮮のリアル

チョ・ユニョン『北朝鮮のリアル』東洋経済新報社、2012 著者は、1979年生まれ。梨花女子大学大学院で修士課程を終了した後、脱北者支援団体でボランティアとして働いたり、先年亡くなった黄長曄の秘書を務めたりして来日、現在早稲田大学大学院博士課程で日…

金正恩の北朝鮮

高英起、李策(編著)『金正恩の北朝鮮 激変する人民ライフと権力の内幕』別冊宝島1984、宝島社、2013 別冊宝島の北朝鮮特集。100ページ余りの薄い巻なので、それぞれの項目にあまりたくさんの分量は割けない。よって、金正恩や政治関係の記事は薄め。核、ミ…

コチェビよ、脱北の河を渡れ

高英起『コチェビよ、脱北の河を渡れ 中朝国境滞在記』新潮社、2012 デイリーNK東京支局長という肩書きで、たびたびメディアに登場する(実際はフリーランスのジャーナリスト)著者の、半生記兼、最近の北朝鮮事情についての本。 著者の父親は在日朝鮮人一世…

中国の地下経済

富坂聰『中国の地下経済』文春新書、2010 この本には非常に驚かされた。著者によると、ある推計では、中国の地下経済の規模は、統計に表れている中国のGDPの約半分。つまり、中国の実際のDGPは見かけの数字の1.5倍だという。さらに驚いたのは、この地下経済…

ファンキー末吉北朝鮮へ行く NHKワールドWaveトゥナイト

「ワールドWaveトゥナイト」、NHKBS1、2013.3.6 NHKBS1のワールドWaveトゥナイトで、ファンキー末吉が北朝鮮を訪問して撮影したビデオが流れていた。核実験後と言っていたので、この2月に訪朝したようだ。正確な日付は聞きそこねた(ご本人のブログで確認す…

防衛駐在官という任務

福山隆『防衛駐在官という任務 38度線の軍事インテリジェンス』ワニブックスPLUS新書、2012 韓国に防衛駐在官として赴任した際の著者の体験記。著者は、1947年生まれ、西部方面総監部幕僚長・陸将で2005年に退役した人。著者の韓国への赴任期間は、1990年か…

平壌6月9日高等中学校・軽音楽部

ファンキー末吉『平壌6月9日高等中学校・軽音楽部 北朝鮮ロック・プロジェクト』集英社インターナショナル、2012 著者は「爆風スランプ」のドラマー。この本は、著者が北朝鮮の高等中学校にロックを教えに行ったプロジェクトの記録。著者が訪朝したのは、200…

21世紀の中国 軍事外交篇

茅原郁生、美根慶樹『21世紀の中国 軍事外交篇』朝日新聞出版、2012 茅原、美根の両氏とも、中国の軍事、外交問題についての専門家なので安心して読める本。対米関係、対台湾関係、海洋進出、宇宙開発、軍改革、治安維持と党軍関係、国際貢献に各章があてら…