#世界史

第一次世界大戦

山上正太郎『第一次世界大戦 忘れられた戦争』講談社学術文庫、2010 戦争そのものよりは、外交関係を中心にした第一次世界大戦史。物語っぽい叙述だが、その分読みやすい。 戦史部分には最低限のことしか書いていないので、それについては他の本を併読する必…

100分de名著 陳寿”三国志”

「100分de名著 陳寿”三国志”」第3回、「孫権」 この回は孫権。これも地縁を武器にして、名士との関係を築き、英雄になった人。孫堅は名をあげたが、戦死。渡邊先生、孫堅のことを「パパ堅」とか言ってる。この孫堅も、基本的には漢室支持で名を挙げた人。「…

100分de名著 陳寿 三国志

渡邉義浩『100分de名著 陳寿 三国志』NHK出版、2017 NHK「100分de名著」のテキスト。テレビで薄い話(伊集院光のトークは別として)を聞いているより、こっちの方がよい。 テレビの放送回4回に従って、「群雄と名士」の関係で、人物を描いている。初回は、「…

戦争の世界史 上

W.H.マクニール(高橋均訳)『戦争の世界史 技術と軍隊と社会』上、中公文庫、2014 この巻は、古代から、19世紀初頭まで。古代のことはあまり書いていないので、11世紀の中世から話がはじまる。 まず中国が優位だった1000年から1500年まで。中国での鉄生産が…

もう一度読む山川世界史

「世界の歴史」編集委員会『もう一度読む世界の歴史』山川出版社、2009 山川の世界史教科書を再編集して一般向けに短くした本。山川の「詳説世界史B」よりはかなりページが少ない。あと、読みやすいように「コラム」を増やしている。 山川の世界史教科書その…

ロジスティクスから見た「失敗の本質」

谷光太郎『ロジスティクスから見た「失敗の本質」 なぜ日本人は兵站が苦手なのか』パンダパブリッシング、2016 最初から電子版だけで出たのかと思ったが、もちろんそんなことはなく、同文書院インターナショナルから1993年に出た『ロジスティクス―戦史に学ぶ…

中国の論理

岡本隆司『中国の論理 歴史から解き明かす』中公新書、2016 岡本隆司の中国史の本。新書一冊、それも230ページくらいの薄さで、よくここまで書けると思うが、相変わらず明快な説明。 中国史を説明する基本的な理屈がいくつか提示される。まず「歴史」。歴史…

韓非子

富谷至『韓非子 不信と打算の現実主義』中公新書、2003 『韓非子』の解説にとどまらず、そこから中国の法意識を考えていこうという本。非常におもしろい。 『韓非子』は、『荀子』と並んで、法家の代表的な本だが、内容は相当違う。『荀子』は性悪説だが、『…

日中関係史

岡本隆司『日中関係史 「政冷経熱」の千五百年』PHP新書、2015 この著者の本はいつもおもしろいが、この本も期待に違わずおもしろい。日中関係を通観した本。通観というのは、「漢書地理志」の時代から、現代までの通史ということ。 もちろん新書ですべての…

戦争とは何だろうか

西谷修『戦争とは何だろうか』ちくまプリマー新書、2016 西谷修、つまりサヨクから見て、戦争がどう見えるかという話をしている本。ちくまプリマー新書だから、いちおう高校生くらい、または大学に入りたてくらいの読者を想定していると思うが、その年の人は…

ヒトラー『わが闘争』~封印を解かれた禁断の書

「BS世界のドキュメンタリー」「ヒトラー『わが闘争』~封印を解かれた禁断の書」、NHKBS1、2016.9.26 「わが闘争」の著作権切れについてのドキュメンタリー。まあ、内容は予想通りであまりおもしろくはない。 2015年がヒトラー没後70年なので、2016年からは…

兵器と戦術の世界史

金子常規『兵器と戦術の世界史』中公文庫、2013 これは、元は原書房から1979年に出ていた本の文庫化。著者は1916年生まれ。陸士49期。戦後は陸上自衛隊に入り、富士学校特科副部長で退官。2000年没という人。砲兵だ。 この本は、古代から第四次中東戦争まで…

ゲッベルス

平井正『ゲッベルス メディア時代の政治宣伝』中公新書、1991 もうだいぶ昔に出た本だが、非常におもしろかった。良書。 ナチス研究はこの頃でも文献が山程あるので、それをきちんとまとめ、かつゲッベルスの日記を使ってその生涯を描いた本。 ゲッベルスは…

民主主義の源流

橋場弦『民主主義の源流 古代アテネの実験』講談社学術文庫、2016 『丘のうえの民主政』を改題文庫化した本。とにかく日本語で読める一般書で、ギリシャ時代の民主制をちゃんと書いた本がこれしかないので、読むしかない。 アテネの民主制といえば、ペリクレ…

現代中国悪女列伝

福島香織『現代中国悪女列伝』文藝春秋、 中国の悪女といえば、呂后、則天武后、西太后。それに驪姫とか夏姫とか、褒姒とか、いっぱいいる。著者があげる中国の悪女の条件というのは、1.美女、2.才媛、3.大事件の当事者、4.権力に関与という4つ。江…

ヒトラー 最後の日々

「BS世界のドキュメンタリー」、「ヒトラー 最後の日々」、NHKBS1、2016.6.16 これは「リアル版 ヒトラー最期の12日間」。この映画のもとになった、最後の時期にヒトラーの地下壕にいた人々の証言の記録フィルム。 フィルムの出所は、ヒトラーが確実に死んだ…

ナチスの戦争1918-1949

リチャード・ベッセル(大山晶訳)『ナチスの戦争1918-1949 民族と人種の戦い』中公新書、2015 ナチと第2次世界大戦の関わりを、第1次世界大戦の終了時から第2次世界大戦終戦後の1949年までの期間で明らかにしようとする本。 ナチ党を戦争に駆り立てたものは…

ニュルンベルク裁判 #3

「ニュルンベルク裁判」 #3 「ナチ党副総統 ルドルフ・ヘス」 「ニュルンベルク裁判」の3回目。これはヘスの回。 この人は本物の気違い。そもそも1941年にイギリスに飛んだ時点で、本国からは気違い扱いされていたが、それは事実。イギリスとの交渉はできず…

ニュルンベルク裁判 #2

「ニュルンベルク裁判」 #2 「国家元帥ゲーリング」 TVムービー「ニュルンベルク裁判」の2回目。この回はゲーリング。ヒトラーとヒムラーが自殺してしまったので、この裁判での最重要人物はゲーリング。 最初は、ゲーリングは被告人になるとさえ考えていなか…

ニュルンベルク裁判 #1

「ニュルンベルク裁判」#1 「軍需大臣 アルベルト・シュペーア」 BBCとDiscovery Channelの共同制作ドキュ・ドラマ。これはニュルンベルク裁判の被告人をピックアップして、彼らが裁判でどういう態度をとったか、取り調べではどうか、当時の裁判関係者(連合…

世界史 II 人類の結びつきと相互作用の歴史

ウィリアム・H・マクニール、ジョン・R・マクニール(福岡洋一訳)『世界史 II 人類の結びつきと相互作用の歴史』、楽工社、2015 マクニール親子の『世界史』の2冊目。これは1500年以後の歴史。 前の巻は先史時代から1500年までの歴史を「大雑把に」扱ってい…

十八史略

竹内弘行『十八史略』、講談社学術文庫、2008 十八史略の抄訳本。訳者自身が、「本文部分が少なすぎた」と書いていて、太古から、三国時代までのおいしいところだけ。それに則天武后と南宋滅亡時のところしか訳されていない。 それでも、解題はきちんと書か…

世界史 上

ウィリアム・H・マクニール(増田義郎、佐々木昭夫訳)『世界史』上、中公文庫、2001 マクニールの『世界史』、とりあえず上巻のみ読んでみた。この本を読んだ目的は、イスラムとインドの歴史、紀元前5世紀以前の中東・エジプト地域の歴史のことを知るためだ…

アデナウアー

板橋拓巳『アデナウアー ─現代ドイツを創った政治家』中公新書、2014 アデナウアーの評伝。1949年に西ドイツ初代首相に就任してから、1963年まで、14年間にわたって西ドイツの首相を務めたのだから、西ドイツ国家の基盤を据えたのは、アデナウアーの功績。 …

物語ヴェトナムの歴史

小倉貞男『物語ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム』中公新書、1997 ベトナム史を簡単にまとめた新書。1997年刊行はちょっと古いかと思ったが、最近のことは別の本に頼ればいいので、この本はホ・チ・ミン(ホー・チ・ミンではなく、この本の表記は…

ホロコースト

芝健介『ホロコースト ─ナチスによるユダヤ人大量虐殺の全貌』中公新書、2011 ナチスのホロコーストを概観した本。NSDAP以前の反ユダヤ主義から、ヒトラー政権初期のユダヤ人迫害、ポーランド侵攻による隔離政策、ゲットー化の経緯、ソ連侵攻とアインザッツ…

曹操

竹田晃『曹操 三国志の奸雄』講談社学術文庫、1996 副題に「奸雄」とわざわざ入っているが、著者は学者なので、もちろん史実に基づいた曹操の本。後漢王朝での宦官と外戚の関係や、曹操の祖父、父の代でのことに紙数が割かれているので、この部分が一番勉強…

世界史 I

W.H.マクニール、J.R.マクニール(福岡洋一訳)『世界史 人類の結びつきと相互作用の歴史 I』楽工社、2015 文明史家のW.H.マクニールと、環境史学者で息子のJ.R.マクニールの共著。内容は、副題の「人類の結びつきと相互作用の歴史」のとおり。出来事の歴史…

神聖ローマ帝国

菊池良生『神聖ローマ帝国』講談社現代新書、2003 これは便利な本。神聖ローマ帝国の歴史なんてあるのかと普通は思うが、これはオットーの加冠以後、皇帝位についた人々と王朝の歴史。神聖ローマ帝国がいつからそのように呼ばれていたのか、カール大帝の帝国…

新・映像の世紀 第3集

「新・映像の世紀」第3集、「時代は独裁者を求めた」 NHKの映像お宝シリーズ。この回は、ヒトラー特集。 映っている人は、ヴィニフレート・ワーグナー、ココ・シャネル、ヘンリー・フォード、レニ・リーフェンシュタール、ベニート・ムッソリーニ、ヨシフ・…