兵器と戦術の世界史

金子常規『兵器と戦術の世界史』中公文庫、2013


これは、元は原書房から1979年に出ていた本の文庫化。著者は1916年生まれ。陸士49期。戦後は陸上自衛隊に入り、富士学校特科副部長で退官。2000年没という人。砲兵だ。

この本は、古代から第四次中東戦争まで陸戦の戦術史を全部書いてしまえというもの。乱暴だが、このくらいが一冊に入っているのがちょうどいい。あまり大部な本は読むのがつらいし。

この本がいいのは、あまり古いところはそんなに読みどころがないが、火器が登場したあたりからのことはきちんと書いてあるところ。砲兵だからプロの知識。銃砲の歴史的発展と、その利用について、きちんと書かれていてわかりやすい。それから、図版が豊富。昔の砲はよくわからないことが多いので助かる。戦況図もたくさんある。

終わりに用語注もついているので、これも便利。大砲の用語もちょっとしたことがわからなかったりするのだ。

日清戦争日露戦争以後のことは気合を入れて書いてあるので、読み応えがある。もっと早く読んでいればよかった。