もう一度読む山川世界史

「世界の歴史」編集委員会『もう一度読む世界の歴史』山川出版社、2009


山川の世界史教科書を再編集して一般向けに短くした本。山川の「詳説世界史B」よりはかなりページが少ない。あと、読みやすいように「コラム」を増やしている。

山川の世界史教科書そのものを読みたいという人は、そちらも売られているのでそっちを買えばいいのだが、これは知識の確認と再整理のためには役に立つ。この本が必要なのは、自分の知識から漏れている部分(近代以前のヨーロッパ以外の地域の歴史、近代以後の知識の順番再整理)を年代順にざっとおさらいする必要がある人。「詳説世界史B」は、受験用やレベルの高い高校生に対してはいいと思うが、かなりページ数が多いのでつらい。こっちの方が手につきやすい。

しかし、それでも、この本は一度は世界史をやって、だいたいのことが頭に入っている人に向けた本。できごとや人名、地名、王朝名がぜんぜん頭に入っていないと、途中で読み進めなくなるだろう。歴史は暗記ではないとはいえ、最小限の事項が頭に入っていないうちは、覚えざるをえない。

その点、頭から抜けているのは、中国史イスラム史。あとはインド、ペルシャ、新大陸。古代だけを書いて、あとは、中国史イスラム史を順番に近代直前まで俯瞰し、そのあとヨーロッパ史をおさらいして、近代以後は比較的統一的な記述になる。やっぱりこのやり方がわかりやすい。

書いている人は、柴田三千雄とか、成瀬治とか、山極晃とか、大家だらけなので、内容は大丈夫でしょ。