戦争とは何だろうか

西谷修『戦争とは何だろうか』ちくまプリマー新書、2016


西谷修、つまりサヨクから見て、戦争がどう見えるかという話をしている本。ちくまプリマー新書だから、いちおう高校生くらい、または大学に入りたてくらいの読者を想定していると思うが、その年の人は抵抗力が弱いから、こういう本にあっさり影響を受ける人もいるだろう。

基本的には、戦争反対、暴力反対と、アメリカ悪い、帝国主義悪い、ファシズム悪いの、日本サヨクの悪い傾向がすべて出た本。結局、何をしろという話はないので、戦争に反対しろ、アメリカやヨーロッパの帝国主義に騙されるな、テロなどという言葉は使うなという話でしかない。

戦争そのものについての情報が非常に薄く、内容はほぼ歴史の解釈論。著者は歴史学者ではなく、哲学者なので仕方ないといえばそのとおり。しあし、こんな薄い価値観断罪で、戦争を解釈されたら、たまらない。この路線でずっと来ている人で、いまさら修正などできないのだから、もはや何を言ってもムダ。

現代思想』とか、こういう人が書いた文章だらけでできていて、あんなのよく読む人がいるなあと思うが、同人誌みたいなものだと思えば、それも仕方ないのだろう。この本を担当している筑摩の編集者も適当で、あきれるばかり。