世界史 I

W.H.マクニール、J.R.マクニール(福岡洋一訳)『世界史 人類の結びつきと相互作用の歴史 I』楽工社、2015


文明史家のW.H.マクニールと、環境史学者で息子のJ.R.マクニールの共著。内容は、副題の「人類の結びつきと相互作用の歴史」のとおり。出来事の歴史ではなく、地域や大都市間の結びつき=ウェブが相互にどのようにつながってきたかということの歴史。

だから、農業の歴史が地域ごとに並べられているだけでなく、各地域での農業の始まりがどのように関連していたかということが書かれている。最も早く農業が始まったのは、メソポタミア-エジプト-インダスを結ぶ南西アジアで、その中でも早かったメソポタミア流域で11,000年前。中国の北部、南部で農業が始まったのは9,000年前。比較的遅かったサハラ以南のアフリカには5,000ー3,000年前。組み合わせは違っても、播種と家畜がセットで農業が行われていた(新大陸は例外)。

この本でカバーされているのは、人類の誕生から1,500年前。地域間の結びつきが密接になるためには、帝国、宗教が重要だということがわかる。またこの本が扱っている年代では、西南アジアと地中海沿岸、インド北部、中国が人口と都市が形成される3つの中心地で、文明の発達もそれらの地域が中心。図が多く、目で見てわかりやすいところがいい。