知られていない 原油価格高騰の謎

芥田知至『知られていない 原油価格高騰の謎』、技術評論社、2006

石油問題に関する一般向けの解説書の中では最もていねいでわかりやすい一冊。著者は銀行の調査部で経済分析、市況分析をしている人だが、石油価格形成の歴史や石油科学分野のことまで親切に説明されている。また先物市場を中心とする価格決定のメカニズムや、石油価格高騰が世界経済、日本経済に与える影響については、専門家として詳しい分析がなされている。何より文章が非常に読みやすいし、構成がしっかりしていて、提起している問題と答えがはっきりしている。もっとも石油価格が2006年中は高止まりするという著者の見方は結果的に外れているので、市場予測ということがいかに困難かについても考えさせられた。