マリーアントワネット

「マリーアントワネット」、キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツ主演、ソフィア・コッポラ監督、アメリカ、2006

冒頭から騒々しいロックが流れてきていやーな予感がしたのだが、ロックの洪水はひとまず終わってほっとした(その後も何度か流れていたが、そんなに気にはならない)。マリーアントワネットの映画とはいえ、池田理代子原作というわけではないのでオスカルとアンドレは出ない。しかし、フェルゼン、デュ・バリー夫人、ポリニャック伯夫人、ノワイユ伯夫人、メルシー伯、とおなじみの人々が出てきてちょっとベルばら気分に浸れる。字幕ではポリニャック伯夫人はマリーアントワネットにほとんどタメ口をきいていたが、いいのか?美術は実際にベルサイユでロケをしたそうで、かなり豪華。宮廷生活を気分だけ味わえる。ところがそれで予算が尽きたのか、革命以後のシーンは思い切り手抜き。モブシーンも全くカネをかけていない。腰を抜かしたのは、この映画、国王一家がベルサイユを退去するところ(テュイルリー宮への移送)で話が終わってしまっている。ヴァレンヌ逃亡事件も国王の裁判と処刑も、マリーアントワネット自身の最期も出てこない。これでマリーアントワネットの人物を描いた映画といえるのか?非常に???な気分。というかそれは反則でしょう。