戦争の記憶をさかのぼる

坪井秀人『戦争の記憶をさかのぼる』、ちくま新書、2005

駄本。戦争の記憶形成と変化を知るのに何かの役に立つかと思って読んだのだが、何の役にも立たない。「敗戦後論」論争を扱う第一章からして著者の「意見」が鼻につくが、9.11テロを扱う第二章はもう読んでられない。第三章の8月15日の新聞分析が本論となるのだろうが、8月15日の新聞紙面を10年ごとに流し読みしているだけで、それ以上の内容がない。それにどうでもいい内容が入りすぎて、単なる著者の感想文になっている。こういう本を堂々と出版しようという神経がよくわからない。文学者がよけいなことをするとろくなことがないという見本。ちくま新書もたまにこういうことがある。