自己責任

今井紀明『自己責任』、講談社、2004

イラクに行ってテロリストに拘束され人質になった今井紀明が、イラク行き、拘束、帰国後の経験をつづった本。まあ単純に何も考えずに行動している人だなあという気はする。イラクがどうなっているか、どういうリスクがあるかについて、よく考えていたようには見えない。ただ文章から受ける感じはそんなに悪くはない。起こった出来事が淡々とつづられている。また、帰国後のバッシングはさすがに身にしみているらしく、読んでいる側を刺激するような記述はおそらく控えているのだろう。
それでも読んでいくと、日本政府やその関係者に対する著者の悪感情は十分伝わる。最後に謝辞が出てくるが、市民運動関係者や友人、北海道庁への感謝はあっても、日本政府に対する謝意はない。謝辞など著者の個人的な感情の問題だから、どうでもいいといえばどうでもいい。しかし、文中で自分たちの拘束を自衛隊派遣のせいにしている箇所も含めて、総じてわかってない人だなあと思う。確かに今井は善意の人だし、同情を受けるべき人であることはわかるが。