闘えない軍隊

半田滋『闘えない軍隊』、講談社+α新書、2005

長く防衛庁取材にあたってきた東京新聞記者による、自衛隊の海外活動を中心としたルポルタージュカンボジア、インド洋、東チモールイラクなどの自衛隊の海外活動の内幕が、現場、幕僚監部、首相官邸などのさまざまな視点からまとめられている。

とはいえ、ちょっと著者の見方はおかしくないか?明らかな認識不足が散見されるし、取材はしているが、取材のスタンスがおかしい。

政治指導部は自衛隊の現場を知らず、両者のコミュニケーションがうまく取れていないことがよくわかる。また、イラク取材のエピソードでも、官対ジャーナリズムという単純な図式ではなく、官邸、内局、幕のそれぞれの思惑が複雑にからんで、簡単に割り切れない図式をつくっていることがよくわかる。著者のスタンスが出すぎていて、あまり勉強になったという気にならないのがざんねん。