ガットからWTOへ

池田美智子『ガットからWTOへ』、ちくま新書、1996

もう10年も前に出た本なので、いまさら読む価値があるのかと思ったが、実際の内容は副題になっている「貿易摩擦の現代史」のとおり、ほとんどが歴史的内容(戦前の貿易戦争も含めた)なので、最近の問題についてはあまりわからないということを別にすれば、現在読んでも価値はある。日本が外国との貿易紛争でいかに困難を経験してきたか、またそうした困難は第二次大戦後も続いていて、アメリカの支援がなければガットへの早期加盟も難しかったこと、の経緯は本書でもっとも勉強になった部分。もっとも歴史的なことに多くの紙幅がさかれているので、WTO成立の経緯や今後の展望の部分は比較的手薄。