#その他社会学

女は笑顔で殴りあう

瀧波ユカリ、犬山紙子『女は笑顔で殴りあう マウンティング女子の実態』、筑摩書房、2014 言葉や態度で自分の優位性を誇示する「マウンティング」が、女性同士の場合はどのように行われるか、というネタでの対談本。辞書(大辞林)の定義だと、「攻撃を抑止…

ヤンキー文化論序説

五十嵐太郎(編)『ヤンキー文化論序説』、河出書房新社、2009 編者は、東北大学の建築史の人。文化研究のイベントで、「ヤンキー論」のセッションを提案したらつぶされてしまい、その企画を出版社に持ち込んで、ようやくできたという本。 執筆者19人で、280…

世界が土曜の夜の夢なら

斎藤環『世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析』、角川書店、2012 著者による『ヤンキー化する日本』があまりに面白かったので、これに手を付けてみたが、期待に違わぬ傑作。これは本当におもしろい。 この本を読んでいて、本に書かれているヤンキーっ…

ヤンキー化する日本

斎藤環『ヤンキー化する日本』、角川oneテーマ21、2014 これは良書。斎藤環が「ヤンキー」をネタにして、6人の論客と対談するのだが、このセレクションが、村上隆、デーブ・スペクター、溝口敦、海猫沢めろん、隈研吾、與那覇潤、というちょっと見ただけでは…

秘宝館という文化装置

妙木忍『秘宝館という文化装置』、青弓社、2014 今年の3月で、佐賀にあった「嬉野観光秘宝館」が閉鎖されたのだが、それとほぼ同じタイミングでこんな本が出た。というか、「秘宝館」などという、今どきネタにしかならないような施設を、研究対象にしている…

タブーの正体!

川端幹人『タブーの正体! マスコミが「あのこと」に触れない理由』、ちくま新書、2012 これはおもしろい本。内容は副題のとおり、マスコミが「特定の話題に触れない理由」を説明したもの。「なかったことにされた問題」の理由を説明することは手続き上、結…

2020年 新聞は生き残れるか

長谷川幸洋『2020年 新聞は生き残れるか』講談社、2013 中日新聞・東京新聞の一匹狼として発進を続けている著者のジャーナリズム論。あいかわらず、いろいろとおもしろい。 最初に出てくるのが、「経済部記者は経済学を知らない」というエピソード。これはは…

パチンコ「30兆円の闇」

溝口敦『パチンコ「30兆円の闇」』小学館、2011 これはKindle版で読んだので、2011年の刊行となっているが、内容は2009年の小学館文庫版と同じもの。溝口敦の取材はあいかわらず徹底的で、パチンコを取り巻くあらゆる関係者を網羅して取材を行っている。取材…

格付けしあう女たち

白河桃子『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』、ポプラ新書、2013 何やらよくわからない世界をちょっとのぞいてみようということで読んだ本。この著者の本は、どうも自分には合わないのだが、このキャッチーなタイトルにひかれて読んでしまった。 …

階級「断絶」社会アメリカ

チャールズ・マレー(橘明美訳)『階級「断絶」社会アメリカ 新上流と新下流の出現』草思社、2013 著者は政治学者で、アメリカン・エンタープライズ研究所の人。だったらどうなのかと言えば、コミュニタリアンなのだ。だから、アメリカ社会の階級分裂の本を…

おどろきの中国

橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司『おどろきの中国』講談社現代新書、2013 橋爪、大澤による前著『ふしぎなキリスト教』の中国版で、中国の歴史から中国社会の構成、日中間の歴史問題、改革開放以後の中国まで、いろんなネタを鼎談方式でやってしまいましょう…

ヒトラーの呪縛

佐藤卓己編、日本ナチ・カルチャー研究会『ヒトラーの呪縛』飛鳥新社、2000 ナチ・オタクの本。今となってはもはや古典だが、出版されて10年以上経った現在読んでも非常に面白い。日本のサブカルチャーにおけるナチの受容について書かれているのだが、ジャー…

潜入ルポ ヤクザの修羅場

鈴木智彦『潜入ルポ ヤクザの修羅場』文春新書、2011 ヤクザもののライターとしては溝口敦が一番おもしろい文章を書いているのだろうと思っていたが、この著者は、溝口敦と同じくらいおもしろい。タイトルは実話雑誌(という名のヤクザ業界誌)っぽいが、そ…

ほんとうは怖い沖縄

仲村清司『ほんとうは怖い沖縄』、新潮文庫、2012 沖縄での「霊」がらみのいろいろな現象について書かれた本。 わたし自身は、「霊の存在」などまったく信じないし、そういう関係の本も基本的には読まない。この本を買ってみたのは、「沖縄県民には霊につい…

日本と中国

王敏『日本と中国 相互誤解の構造』、中公新書、2008 中国人から見た日中比較文化論、みたいな本。著者は法政大学教授。いろんなところで日本文化の紹介をまめにやっている人。 この人の本なので、日本にちょっとしかいなかった人にありがちな、表面的な誤解…

オタクのリアル

安田誠『オタクのリアル 統計からみる毒男の人生設計』、幻冬舎、2011 マンガ仕立ての部分と、それにくっついたオタク関連の統計を集めた部分でできている本。統計のところは、ちゃんと見やすいように図版が入っていて、読みやすい。 けっこうどうでもいい知…

NHK問題

武田徹『NHK問題』、ちくま新書、2006 つまらない本。どこがつまらないかというと、著者が一番いいたいことらしい「公共放送の公共性とは何か」というメッセージがつまらない。 「反権力」や、「メディアはこうあるべき」という議論を最初に振り回すようなNH…

新聞消滅大国アメリカ

鈴木伸元『新聞消滅大国アメリカ』、幻冬舎新書、2010 「アメリカでは新聞は消えつつあります」という、いまさらなにを、というお話をしている本。著者はNHKのディレクター。ギャラクシー賞奨励賞を二度受賞ということなので、それなりにがんばっている人な…

日本の童貞

渋谷知美『日本の童貞』、文春新書、2003 「日本における童貞に関する言説史」の本。19世紀末から1920年代までの雑誌記事、および1952年から2002年までの雑誌記事を網羅的に探して、童貞に関する記事を全部集めて読んでいくという手法で書かれている。 1960…

評価経済社会

岡田斗司夫『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』、ダイヤモンド社、2011 著者の前著『ぼくたちの洗脳社会』、朝日新聞社、1995の増補改訂版。この本はたしか読んだ記憶があるのだが、内容をほとんど忘れていたので別に問題はなし。 基本…

ソーシャル・キャピタル入門

稲葉陽二『ソーシャル・キャピタル入門』、中公新書、2011 ソーシャル・キャピタル=社会関係資本の入門書。要するに人間関係のネットワーク、社会的きずなが社会的にどのような価値を持ち、どのような要因の影響を受けるかという問題。 経済的格差とソーシ…

絶対貧困

石井光太『絶対貧困 世界リアル貧困学講義』、新潮文庫、2011 タイトルどおり、「講義」形式で、世界の貧困層の生活について書かれた本。1日2ドル以下で生活している人が30億人、1日1ドル以下だと12億人ということなので、だいたいそういうレベルの貧困層が…

希望難民ご一行様

古市憲寿『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』、光文社新書、2010 これは、ピースボートという団体ってどういうものなの?という興味で読んでみたのだが、けっこうおもしろかった。内容は著者の修士論文を本にしたもので、著者自身が200…

社会派くんがゆく!

唐沢俊一、村崎百郎『社会派くんがゆく!』、アスペクト、2001 先日、キチガイに刺されて亡くなった村崎百郎の本を図書館で探したら、このシリーズしか出てこなかった。まあ、さすがに『鬼畜のススメ』とか『電波系』は公共図書館には入れてもらえないらしい…

日本文化論のインチキ

小谷野敦『日本文化論のインチキ』、幻冬舎新書、2010 小谷野先生のメッタ斬り、「日本文化論」編。一時よく流行っていた「日本文化論」の有名本のほとんどがばっさばっさと斬り捨てられている。著者によれば、「日本文化論」のほとんどは、他国文化(特に近…

ネット評判社会

山岸俊男、吉開範章『ネット評判社会』、NTT出版、2009 非常におもしろい本。著者は、まず取引(社会関係全般に拡張してもよい)で相手を信用できることを確保するしくみとして二つのモデルを考える。一つが、集団を外から閉鎖して、ウソつきに悪評をかぶせ…

NHKスペシャル 「無縁社会~”無縁死”3万2千人の衝撃~」

NHKスペシャル 「無縁社会~”無縁死”3万2千人の衝撃~」、2010.2.2 1月31日日曜日に放送されてけっこう反響が大きかったらしいこの番組。2月2日火曜日の深夜に再放送があったので見ることができた。 「無縁死」というのはこの番組での造語で、引き取り手がな…