ヤンキー文化論序説

五十嵐太郎(編)『ヤンキー文化論序説』、河出書房新社、2009


編者は、東北大学の建築史の人。文化研究のイベントで、「ヤンキー論」のセッションを提案したらつぶされてしまい、その企画を出版社に持ち込んで、ようやくできたという本。

執筆者19人で、280ページくらいのボリュームなので、一人一人の執筆している文章が短い。内容も、取り上げ方が執筆者によってバラバラで、あまり統一性はない。しかし、このテーマでは初期に出た本として意味はあるし、あまりおもしろくない章は飛ばして読めばいいので、短いことやバラバラなことはいっこうにかまわない。

一番おもしろかったのは都築響一のインタビュー。これは編者自身がとってきている。なぜ都築響一がヤンキー文化関連のものを集めているか。「実際には多数だが、メディアの中では無視されているもの」だからだという話。都築響一のマイナーなものへの愛が味わい深い。

他には、斎藤環速水健朗ら、この分野で本を書いている人は入っているので、押さえるべきところは押さえている。特にナンシー関のコラムが4本入っているところがいい。X JAPANのヨシキ、工藤静香横浜銀蝿、SPEEDの島袋寛子という並びは、たしかにヤンキーの焦点。そしておもしろい。

巻末にヤンキー文化というか、不良文化についてのブックリストが載っているのも親切。この次は、速水健朗の『ケータイ小説的。』を読まねば。あとは、映画「国道20号線」がおもしろそうなのだが、ソフトになっていないようだ。どこかで見られないものか。