社会派くんがゆく!

唐沢俊一村崎百郎『社会派くんがゆく!』、アスペクト、2001

先日、キチガイに刺されて亡くなった村崎百郎の本を図書館で探したら、このシリーズしか出てこなかった。まあ、さすがに『鬼畜のススメ』とか『電波系』は公共図書館には入れてもらえないらしい。しかしこっちのシリーズは全巻収書されていたので、ぼちぼちと読んでいくことにした。

長い連載だが、この本が最初の巻。雑誌掲載(『ウルトラグラフィックス』)は、2000年7月から2001年7月まで。しかし、2001年9月のアメリカのテロ事件の話題が入っているので単行本化される際に手を入れているようだ。

内容は、日々起こっている犯罪事件(政治ネタとかもあるが、基本は事件ネタ)に対して、唐沢俊一村崎百郎が対談で突っ込みを入れていくというもの。読んでいくと、収録されているこの1年間は、犯罪に関しては大豊作である。西鉄バスジャック、新潟少女監禁、大分一家6人殺人、オウム裁判、ルーシー・ブラックマン殺人、旧石器発掘捏造、歌舞伎町ビデオ店爆破、世田谷区一家4人殺人、愛犬家連続殺人判決、金正男不法入国、武富士放火強盗、台東区女子大生殺人、池田小学校殺人、沖縄小学生レイプ等々、忘れている事件がほとんどない。1年間、これだけネタがあったらトークには困らないだろうと思うが、このトークが鬼畜。

唐沢と村崎の対談なので、まあひどいことを言っているだろうと思っていたが、予想の3倍くらいひどい(笑)。さすがに雅子さま関連、9.11テロ事件関連といったところの村崎発言はカットされているが、それでもかなりしゃべっている。まあ、村崎百郎も自分がキチガイに刺されてしまって、あの世でなんと思っているかは知らないが、キチガイの恐ろしさを身をもって知ったというところだろうか。

唐沢は最近はもはや「盗用問題の人」になってしまっているが、さすがにこのシリーズでは内容的にそれはないだろうから、あまり気にせず読んでいくことにする。

ウェブで検索すると、この連載はまだウェブで続いていて、最新号は2010年7月15日にアップされており、大相撲野球賭博問題とか、しゃべっているのである。この対談が終わってしまうのはとてもざんねん。ちなみに村崎百郎の「まえがき」によれば、この本の内容を心から楽しめた人間は鬼畜、ということなので、わたしも鬼畜の仲間入り。こんなに笑ったことは最近なかった。