メガネと放蕩娘

山内マリコ『メガネと放蕩娘』文藝春秋、2017


これは「シャッター商店街」をネタにした小説。地方によくあるシャッター商店街をどうすれば再生できるかという話。

結局再生というよりは、再開発されて大きなビルが建ち、そこはほとんどマンションになるというありきたりの結末だが、もともと「なぜ商店街がシャッター通りになってしまうのか」、「なぜ誰も空き店舗をやすい賃料で借りて何かを始めようとしないのか」という問題をよく突っ込んでいるので、おもしろく読める。

かんたんにいえば、商店街のオーナーは、昔は儲かっていた既得権層で、この上、何か新しいことをしなければならないとは感じていない。人に貸してめんどうなことになるのを嫌がる。コミュニティが崩壊しているので、誰も調整ができない、というようなこと。行政の補助金は、目立つことにしか使われておらず、街の再生というような長期的な目的には不向き。

誰か、やる気があって、町の人の調整ができる人がいて、実働部隊の若い人がいて、町の人々が協力しないと何もできない。はっきり言って、これはたいへん。しかし、何もしなければ町は単純になくなっていくだろう。