ヨゼフ・チャペック エッセイ集

ヨゼフ・チャペック(飯島周編訳)『ヨゼフ・チャペック エッセイ集』平凡社、2018


これはカレル・チャペックと間違えて買った本。著者は、画家、ジャーナリストで、カレル・チャペックの兄。

作家ではないが、この本を読むと兄弟で才能は同じレベルであり、実質的に作家みたいなもの。本には、著者の描いたイラストが載っているが、ちゃんと描けている。なんでもできた人。

身辺のこと、園芸(弟と同じ趣味)、政治、強制収容所で書いた詩などが載っているが、こんなに内容のあることを書ける人はそうそういない。出色なのは、死刑に対する議論。死刑賛成というわけではないが、死刑廃止には反対しており、その理由は「罪に対する道徳的均衡のある責任が必要だから」。死刑問題で、このことをきちんと言っている人は少ないので、取るべき議論。

こういう人なので、当然ナチス占領下ではすぐに逮捕され、死んだのは戦争終結直前なので、ずっと収容所生活。ほぼ6年近く収容所で過ごしたので、非常に体力のある人だったのだろう(弟はチェコスロバキア併合以前に病死)。詩を読むと、非常にメンタルの強い人だったことがわかる。58歳で死去。

間違えて買った本だが、非常な拾い物。何があたりなのか、本はわからない。