永平寺の四季

小倉玄照『永平寺の四季』、誠信書房、1982

著者の永平寺での生活と修行についてのエッセイ。著者が役付になっている人だからかもしれないが、野々村馨『喰う寝る坐る 永平寺修行記』と読み比べると、修行僧に対する訓戒(著者自身に対する自戒も含まれているのだろうが)的な色彩が強いように思う。ということで説教めいたところには修行の無縁の身からは、すなおに入っていけないところもあるのだが、表題のとおり著者が生活のこまごましたところから永平寺の季節の移り変わりを豊かに感じ取っているのが、読んでいてすがすがしい。二冊の本を比べても修行の内容に違いはないので、今でも変わらぬ生活が続けられているのだろう。一度は冬の永平寺をたずねてみたいものだと思ってはいるのだけれど…。