ポピュリズムに蝕まれるフランス

国末憲人『ポピュリズムに蝕まれるフランス』、草思社、2005

フランスの2002年大統領選でのルペンの決選投票進出その他のフランス政治のエピソードを通じて、フランスやその他のヨーロッパ諸国へのポピュリストの進出について述べた本。著者は朝日新聞の記者で在仏歴も長い。

ルペン進出やスカーフ騒動の細かい事情がよくわかって、その意味では参考になる本。しかし肝心の著者のポピュリズムへの理解があやふや。ポピュリズムと移民反対を同一視しているし、移民反対が民主制に反するという妙な勘違いもやっている。フランスのことはともかく民主制やポピュリズムに対する認識が甘いのではないか。著者が極右に反感をもっているらしいことはわかるが、極右そのものについてもうちょっと勉強したほうがよいのではないかと思う。