病としての韓国ナショナリズム

伊東順子『病としての韓国ナショナリズム』、洋泉社新書、2001

90年代、ソウルに10年在住していた著者による在住外国人から見た韓国論。韓国に住む外国人がどのように扱われているかという話題のほか、韓国に渡った在日朝鮮人や中国朝鮮族、在韓華僑の問題、韓国人の外国への移民、国際養子という名目での孤児輸出、同胞としての北朝鮮に対する意識など、韓国人の内と外に関する意識の諸相が描かれている。

韓国に住む外国人、特に西洋人についての取り扱いや父系血統主義に端を発する国際養子の問題(1年間に約2000人の子供が国際養子に出され、国内養子の約3倍にあたるという)は初耳だったので勉強になった。また反米主義についても米軍装甲車による交通事故から始まったわけではなく、1990年代はじめからずっと続いてきた現象だったということもわかり、これも認識を改めさせられた。表題から連想されるような「嫌韓本」とは一線を画した本なので、このタイトルについては一考を要するように思うが・・・。いずれにしても長く住んだ者でないとわからないエピソードが多く、学ぶところの多い本。