#生物学

人類進化の700万年

三井誠『人類進化の700万年 書き換えられる「ヒトの起源」』講談社現代新書、2005 ちょっと前の本だが、おもしろかった。著者は読売新聞の科学記者。この分野、よく知らなかったので非常に勉強になった。 一番わかっていなかったことは、ヒトの進化は単線的…

したがるオスと嫌がるメスの生物学

宮竹貴久『したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界』集英社新書、2018 著者は生物学者。対象は、昆虫の生殖。非常におもしろい本で、著者の研究対象を通じて、生物の交配行動がわかりやすく説明されている。 著者の主要な研究対象は…

ダイアモンド博士のヒトの秘密 #12

「ダイアモンド博士の”ヒトの秘密”」第12回、「”格差”をのりこえて」 この回が最終回。部族社会、農耕以前の社会は平等社会。先進国で貧富の差が大きい社会は、アメリカ、ポルトガル、イギリス。アメリカは格差が大きいだけでなく、流動性も低い。 アメリカ…

ダイアモンド博士のヒトの秘密 #11

「ダイアモンド博士の”ヒトの秘密”」第11回、「文明崩壊 人類史から学ぶもの」 この回は環境問題。地球温暖化は現在の問題として、それ以前の環境破壊が生態系に及ぼした影響の例。ニュージーランドのスティーブンス島に灯台守が猫を一匹持ち込んだ。それで…

ダイアモンド博士のヒトの秘密 #10

「ダイアモンド博士のヒトの秘密」第10回、「集団虐殺はなくせるのか」 この回は、殺人、戦争、集団虐殺のお話。 ダイアモンドは1937年生まれで、第二次大戦が終わった後にユダヤ人強制収容所の映画を見せられたと言っている。当然第二次大戦の後も、集団虐…

ダイアモンド博士のヒトの秘密 #9

「ダイアモンド博士の”ヒトの秘密”」第9回、「地球外生命体も進化する?」 地球外生命体があるかどうかという回。生命体が存在しそうな惑星=ハビタブルプラネットは、適切な温度での水、ガス状ではない鉱物質、恒星からの適切な距離などが必要。 しかし、問…

サバイブ

麻生羽呂、篠原かをり『サバイブ 強くなければ、生き残れない』ダイヤモンド社、2017 『LIFE』の続編にあたる本。従って、これも形式としては共著になっているが、篠原かをりがマンガ部分のネタも提供しているので、実質的には篠原の本。 生物雑学よりも、篠…

LIFE 人間が知らない生き方

麻生羽呂、篠原かをり『LIFE<ライフ> 人間が知らない生き方』文響社、2016 麻生羽呂と篠原かをりの共著ということになっているが、麻生の描いているマンガ部分も原案は篠原が出しており、実質的に篠原かをりの本。まだ学生で生物オタクというキャラで著述…

ダイアモンド博士のヒトの秘密 #8

「ダイアモンド博士のヒトの秘密」第8回、「”進化”から見た文明格差」 この回は、文明の格差について。ダイアモンドの得意技。 文明の格差は、基本的に農業が起こった時期の格差に依存していて、この理由は、栽培や家畜化が可能な動植物は限られているから。…

ダイアモンド博士のヒトの秘密 #6

「ダイアモンド博士のヒトの秘密」第6回、「不思議いっぱい ヒトの寿命」 この回は、寿命。小動物の寿命が短いのは、食べられてすぐに死ぬ可能性が高いため。ヒトはそうではないので、限界120歳まで生きている。 問題は閉経。子供を産まなくなった後で生きて…

ダイアモンド博士のヒトの秘密 #4

「ダイアモンド博士のヒトの秘密」第4回、「性と出会いのメカニズム 人種の起源」 Eテレでやっていたシリーズの4回目。性淘汰と人種の起源の話。 性淘汰では、外見の魅力は、自分の顔に似た人、しかし似すぎてもいない人が好まれる。「似すぎてもいない」は…

弱者の戦略

稲垣栄洋『弱者の戦略』新潮社、2014 『オスとメスはどちらが得か?』の著者による生物学本。内容はかなりの程度かぶっている。しかしそれでもおもしろいし、この本が提供しているネタもあるので、そんなに問題はない。 タイトルは、生物が取っている生き残…

オスとメスはどどちらが得か?

稲垣栄洋『オスとメスはどちらが得か?』祥伝社新書、2016 これは非常におもしろかった。生物の生態戦略みたいな本。 性別はなぜ2種類なのかということから始まって、生物が遺伝子を残すために取っている戦略の多様性を説明している。性別の基本はメス。メス…

女の機嫌の直し方

黒川伊保子『女の機嫌の直し方』集英社インターナショナル新書、2017 最近、露出が多い、人工知能研究、神経科学の方。1959年生まれだって。 最初に「性差はあるといえばある、ないといえばないですよ」と断ってから、パターンですよ、ということにして、男…

日本人の9割が知らない遺伝の真実

安藤寿康『日本人の9割が知らない遺伝の真実』SB新書、2016 これは非常におもしろかった。知能、性格などに対する遺伝の影響について論じた本。著者は慶應義塾大学教授(行動遺伝学、教育心理学)。 著者が使っている方法は、「双生児調査」。一卵性双生児と…

地球ドラマチック 巨大昆虫はなぜ絶滅したのか

「地球ドラマチック」、「巨大昆虫はなぜ絶滅したのか」、2016.2.20 3億5000万年前の地球には、巨大な昆虫が多く生きていた。メガネウラというトンボに似た昆虫は羽のさしわたしが65cm以上あった。それらはなぜ滅びたのか。 その年代の酸素濃度は35%あり、現…

生命大躍進 脊椎動物のたどった道

「生命大躍進 脊椎動物のたどった道」、国立科学博物館、2015.10.2 これは上野に行った時にたまたま寄った展示だったのだが、てんで忘れていた。 NHKスペシャルで同名の番組があり、この展示はそれと連動したもの。売り物は、各種の化石。多くは本物。化石だ…

ねこの秘密

山根明弘『ねこの秘密』、文春新書、2014 著者は動物学者、北九州市立自然史・歴史博物館学芸員。ねこ研究者として、ねこ(特にのらねこ)の生態について書いている。とてもおもしろい。 自分や家がねこを飼ったことがないので、ねこのことは全然知らなかっ…

人間の性はなぜ奇妙に進化したのか

ジャレド・ダイアモンド(長谷川寿一訳)『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』、草思社文庫、2013 文明史家のような人にされているダイアモンドの本職である、進化生物学の本。当然こちらもおもしろい。 人間の性関係が、他の生物とどのように違うのか、そ…

なぜ男は女より多く産まれるのか

吉村仁『なぜ男は女より多く産まれるのか 絶滅回避の進化論』、ちくまプリマー新書、2012 進化論の本。著者はダーウィンの自然選択説を批判している。それは「環境が変化しない」という前提の下では、適応度のより高い生物が生き残り、他の生物を圧倒すると…

動物園にできること

川端裕人『動物園にできること 「種の方舟」のゆくえ』、文春文庫、2006 これは良書。動物園が何をしているか、何をしようとしているかを、主にアメリカの動物園の取材から伝える本。単行本の刊行は1999年で、この時点で書かれている部分では、「日本の動物…

大哺乳類展 海のなかまたち

「大哺乳類展 海のなかまたち」、国立科学博物館 前にやっていた陸生哺乳類の展示に続く、海生哺乳類の展示。夏休みの最後の日曜日だったこともあって、とにかくかなりの数のお子様が…。お子様は展示物の前から動かないし、背は低いけど展示物に張り付いてみ…

タヌキたちのびっくり東京生活

宮本拓海、しおやてるこ、NPO都市動物研究会『タヌキたちのびっくり東京生活 ‐都市と野生動物の新しい共存‐』、技術評論社、2008 東京、それも23区内に生息するタヌキの生態についての本。23区内にタヌキなんかいるのか、と思うが、著者の推定では1000頭前後…