21世紀の中国 軍事外交篇

茅原郁生、美根慶樹『21世紀の中国 軍事外交篇』朝日新聞出版、2012


茅原、美根の両氏とも、中国の軍事、外交問題についての専門家なので安心して読める本。対米関係、対台湾関係、海洋進出、宇宙開発、軍改革、治安維持と党軍関係、国際貢献に各章があてられていて、230ページあまりの短い本だが、中国の安全保障政策を要領よく概観することができる。

個人的には特に対米関係、海洋進出、宇宙開発、治安維持と党軍関係の章を興味深く読んだ。アメリカの台湾に関する中国のとの過去の約束の経緯をきちんと認識させてもらったことは大きな収穫。また、海洋進出についても、中国当局者のいう「核心的利益」の用法、いわゆる第一列島線第二列島線が中国の海洋戦略の中でどのように位置付けられているかについて多くを教えられた。宇宙開発、治安維持組織と党軍関係についても、学ぶところが多かった。

刊行が新しい(2012年9月)ということもあって、一番新しいできごとまでカバーされている。中国の外交、軍事問題に関心のある人が必ず目を通すべき価値のある本。