金正恩の北朝鮮

高英起、李策(編著)『金正恩北朝鮮 激変する人民ライフと権力の内幕』別冊宝島1984、宝島社、2013


別冊宝島北朝鮮特集。100ページ余りの薄い巻なので、それぞれの項目にあまりたくさんの分量は割けない。よって、金正恩や政治関係の記事は薄め。核、ミサイル開発についての黒井文太郎の執筆部分は、『軍事研究』の記事とほぼ内容が同じ。

なので、この本でおもしろいのは、北朝鮮の住民生活に関する部分。ヤミ市場での商売人の生態、携帯電話の普及とその影響、外国の北朝鮮直営レストランの従業員、などなど。特に黄海北・南道での最近の餓死についての石丸次郎インタビューはおもしろかった。

他にも北朝鮮ヤクザについての部分で、邦訳されている白栄吉『北朝鮮不良日記』の著者のその後の消息の話もおもしろかった。あとは、韓国文化ソフトの流通、ポチョンボ電子楽団の凋落とモランボン楽団の隆盛も楽しく読めた。これで980円(たぶん90分ほどで読める)はお得だと思う。