北朝鮮をめぐる北東アジアの国際関係と日本

平間洋一、杉田米行(編著)『北朝鮮をめぐる北東アジアの国際関係と日本』、明石書店、2003


昔の本だが、今となってはもはや「珍本」の類。というより、出版された時点でおかしいでしょ、この内容は。

執筆者は、編著者の2人のほか、大津留千恵子、マーク・カプリオ、武貞秀士宝珠山昇、、ソニア・リャン、アンソニー・ディフィリッポらの人々。この人達は、専門分野ばかりか、北朝鮮に対する立場、問題の展望と解決の方向など、すべてにわたって見解がバラバラ。

こういうことは編者がきちんとした企画を立てていないとよく起こることではあるが、あまりにもあっちこっちに論点が飛び、日本国内の朝鮮人差別(と称するもの)の批判、アメリカの対北朝鮮政策批判、日本の防衛力強化の主張など、闇鍋状態。

それでも、それぞれの議論がちゃんと正面からぶつかって論点を整理するようになっているのであれば、それでいいのだが、そういう編集にもなっていない。頭が混乱するばかり。

さすがに編者もこれではまずいと思ったのか、編者2人の主張の違い(この2人の立場が大違いで、それがこの本の混乱のもとになっている)について、簡単にまとめられている。しかしこのまとめも意味なし。立場が異なる点について議論しているのではなく、単に立場の相違を併記しているだけ。

企画の時点でもっときちんと相談しているべきじゃないの?おそらく、編者が自分の知っている人に声をかけ、テーマだけ丸投げして書かせた結果、こういうものができてしまったのだろう。たまに、こういうことは起こるものですが・・・。