BBCパノラマ:北朝鮮に潜入

「パノラマ:北朝鮮に潜入」(NORTH KOREA UNDERCOVER


LSEの学生訪問団にまぎれこんで、内緒で取材したということで話題のBBCによる北朝鮮取材番組。取材時期は、2013年2月の核実験の後、アメリカとの戦争をさんざん煽っている時期だ。しかし、ガイドや板門店の軍人はヘラヘラしていて、あまり緊張感は感じられない。

騒がれている割には、30分番組で、内容は短い。しかも取材ビデオだけでなく、昔の資料映像や、北朝鮮当局の公式提供映像も入っている。8日間の滞在と言っていたが、ツアーの内容は特に変わったことのない、宣伝用北朝鮮ツアーなので、あまり映す価値がある素材が撮れなかったのだろう。

平壌板門店錦繍山の金日成の霊廟のほか、他の地方にも行っているが映像からはどこかはわからない。北朝鮮東部の山岳地や農村に行っている映像もある。

映っているものは北朝鮮国内のもののほか、イギリスの前平壌駐在大使のジョン・エバーラード、北朝鮮研究者のブライアン・マイヤーズ、それから脱北者

平壌では中央図書館や病院でも取材。図書館でオーウェル1984年」を請求するが、当然出てこない。出されたのは栄養や食料の本。病院には患者がいない。患者は午前中にはいたが、午後には社会奉仕活動に行きましたという説明。ブラックジョークだ。

サーカスも訪問。客はみな軍人ばかり。この日は軍人専用だったらしい。軍事パレードも行われていた。兵器はなしで、軍人が素手で気勢をあげているだけ。いつもの軍人集会だろう。

取材である以上、北朝鮮当局には黙ってやらなければ意味がないということはわかるが、これが放送された以上は、もうBBC北朝鮮の取材番組は作れないだろう。学生や他の観光客も厳重にチェックされるはず。北朝鮮のような国に対しては、継続的な取材が必要なのだが、テレビではむずかしいだろう。もったいない。