#政界

政治が危ない

御厨貴、芹川洋一『政治が危ない』日本経済新聞出版社、2016 御厨貴と日経の芹川洋一は、東大法学部三谷ゼミの同級生。この対談本は2冊目。これはひじょうにおもしろい。 まず、政治家同士の権力闘争、政治家論、これがおもしろい。二人ともそんなに年がいっ…

1000億円を動かした男 田中角栄・全人像

「1000億円を動かした男 田中角栄・全人像」『文藝春秋』平成二十八年八月増刊号、2016 文藝春秋の田中角栄関係記事をまとめた号。さすがに文藝春秋だけのことはあって、ネタがたくさんある。 一番おもしろいのは、田中失脚の決定打となった立花隆の「田中角…

新版 総理の値打ち

福田和也『新版 総理の値打ち』新潮新書、2016 2005年に福田和也が出した『総理の値打ち』に、それ以後に首相になった6人(安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田)を加えて改訂したもの。『作家の値打ち』の政治家版。 首相の業績を100点満点で採点するとなると…

安倍政権は本当に強いのか

御厨貴『安倍政権は本当に強いのか 盤石ゆえに脆い政権運営の正体』PHP新書、2015 御厨貴の安倍政権論。とてもおもしろい。 副題のとおり、安倍政権の「強み」、最近、特にリクルート事件以後の自民党の弱体化の分析と、それに伴う安倍政権(自民党)の「弱…

政治家の見極め方

御厨貴『政治家の見極め方』NHK出版新書、2016 御厨貴の政治家論。講演のようなスタイルで書かれているが、これが読みやすい。今の政治家が小粒で、その理由は小選挙区制だと言っているが、なぜ日本の小選挙区制がアメリカやイギリスのように機能しないかと…

小泉純一郎独白

常井健一『小泉純一郎独白』文藝春秋、2016 文藝春秋1月号に載っていた「小泉純一郎独白録」の再編集版。雑誌には載せきれなかった分が足してあるので、こちらの方がよい。 小泉純一郎が首相を辞めてから、2016年で10年。もうそんなにたったのだ。講演以外は…

安倍政権の裏の顔

朝日新聞政治部取材班『安倍政権の裏の顔 「攻防 集団的自衛権」ドキュメント』、講談社、2015 集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(2014.7.1)までの、官邸、内閣法制局、自民党・公明党の協議、特に高村正彦、北側一雄に、兼原信克、高見沢将林の官房副長…

田中角栄秘録

大下英治『田中角栄秘録』、イースト新書、2013 「田中角栄エピソード集」のような本。最初の部分は、田中角栄と、石破二朗、石破茂親子のエピソードから始まっていて、ここは石破茂から直接聞いたのだろう。 その後の部分も、入内島金一(田中の政界入り以…

日本政治とメディア

逢坂巌『日本政治とメディア』、中公新書、2014 これは労作。鳩山一郎(テレビ放送の開始が1952年)内閣から、第二次安倍内閣まで、メディアと政治の関係をまとめた本。メディアは新聞とテレビだが、やはり中心はテレビ。 1980年代以後は完全にテレビ政治。…

安倍官邸の正体

田崎史郎『安倍官邸の正体』、講談社現代新書、2014 著者は1950年生まれ、時事時事通信編集委員。テレビのコメンテーターとしてもよく出ている人。 本の内容の多くは、安倍政権のと関係者、特に安倍首相本人と、菅官房長官に対するインタビューで、構成され…

官房長官

星浩『官房長官 側近の政治学』、朝日新聞出版、2014 著者はベテラン政治記者だから、官房長官の仕事がどういうものなのかについて、ひと通りのことがわかるかと思ったが…、あんまりわからない。 歴代官房長官のエピソードは、いろいろ載っている。しかし、…

田中角栄

早野透『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』、中公新書、2012 朝日新聞で田中派の番記者だった著者による田中角栄の評伝。政治家の場合、政策、党内での権力闘争、選挙、人物の4つの面がバランスよく書かれている必要があるが、この本はそのことは満たしてい…

雑巾がけ

石川知裕『雑巾がけ 小沢一郎という試練』新潮新書、2012 小沢一郎の秘書で、衆議院議員、現在刑事被告人の著者が、小沢一郎の秘書だった時期のことを書いた本。政治家の秘書と言ってもいろいろな人がいるだろうが、小沢一郎のところは文字通りの「雑巾がけ…

児玉誉士夫 巨魁の昭和史

有馬哲夫『児玉誉士夫 巨魁の昭和史』文春新書、2013 この著者はいつもおもしろい本を書いているが、この本も例に漏れず、全編非常におもしろい。児玉誉士夫という人物を題材にして、戦前から戦後にかけて日本がどのように継続性を保っていたか、政治がどの…

官僚

飯島勲、大下英治『官僚』、青志社、2012 これは非常におもしろかった。小泉元首相の秘書だった飯島勲に、大下英治がインタビューするという形式の本。大下英治は単に質問するだけでなく、自分の意見もどんどんぶつけているので、ほんとうの意味で共著になっ…

官邸敗北

長谷川幸洋『官邸敗北』、講談社、2010 これも長谷川幸洋の政界実録本。鳩山内閣初期の状況を扱うので、『官僚との死闘七○○日』のある意味では続編みたいなもの。ただし、そちらでは長谷川は政権内部にいたが、民主党政権ではそうではなかったので、よりジャ…

官僚との死闘七○○日

長谷川幸洋『官僚との死闘七○○日』、講談社、2008 雑誌、ネット、テレビ、そして新聞と健筆を振るう長谷川幸洋の「安倍政権内幕もの」。まあ、とにかくおもしろい。長谷川は取材というより、自分自身が安倍政権の改革政策のアクターとして、実際に政治の渦中…