新版 総理の値打ち

福田和也『新版 総理の値打ち』新潮新書、2016


2005年に福田和也が出した『総理の値打ち』に、それ以後に首相になった6人(安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田)を加えて改訂したもの。『作家の値打ち』の政治家版。

首相の業績を100点満点で採点するとなると、「基準」はどうするのかということになるが、そこは曖昧。中曽根康弘が40点で、竹下登が61点といわれると、「どうしてそうなるのか」という話になる。戦後の首相で一番評価が高いのが、岸信介で81点ということからも、著者の好みだろうということ。

だから、戦後の首相評価は適当に聞き流すとして、戦前期の首相はこれもたくさんいて、誰が何をしたのかよくわからなかったりする。そこを簡単に読めることがメリット。ただ、これも著者の好みがよくわからず、山本権兵衛が66点で西園寺公望が39点といわれると、納得は行かない。

とはいえ、首相の評価は好みと立場だから、伊藤博文以後の全員に無理やり点数をつける試みはあり。基準の一貫性が問われるところ。床屋政談で構わないので、多くの人がそういう試みをする材料になればいいという著者の考えは、考え方としてはよい。