安倍政権の裏の顔

朝日新聞政治部取材班『安倍政権の裏の顔 「攻防 集団的自衛権」ドキュメント』、講談社、2015


集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(2014.7.1)までの、官邸、内閣法制局自民党公明党の協議、特に高村正彦北側一雄に、兼原信克、高見沢将林の官房副長官補、横畠裕介内閣法制局長官の「5人組」で、どのように閣議決定の内容を詰めていったのかが、克明に描かれている。

つい昨年の話で、関係者は全員現役、しかも誰が何を言ったのか、詳しく書かれている。オフレコの取材ではできず、高村、北側のどちらかまたは両方、横畠法制局長官と外務、防衛出身の官房副長官補の誰かがしゃべっているのだろう。国会で法案が通過するまでは内容は書かない約束だったと思われる。この本の出版日付は11月1日となっている。

おかげで、政府、与党内部でどういう調整がなされていたのかが詳しくわかり、大助かり。普通なら、何十年もたたないとわからないようなことが書かれているのだ。これだけの人々の発言が細かく再現されているので、一人だけに聞いて書いたというようなものではない。

実際に動いたのは、高村、北側と官邸幹部だが、彼らを動かしているのは安倍晋三その人。総理大臣が強いリーダーシップをとって命令しているから、ここまでのことができるのだ。国会審議では揉めても、閣議決定を出すところまでが勝負。政策決定過程の記録として非常に貴重な本。