#その他文学

中国文学を学ぶ人のために

興膳宏(編)『中国文学を学ぶ人のために』世界思想社、1991 中国文学の入門書。定評のある本なので読んでみたが、非常におもしろかった。 この300ページあまりの本で、中国文学の全部の分野を時代に分けて紹介するのは大変なことだと思うが、やはり中国文学…

テロ

F.v.シーラッハ(酒寄真一訳)『テロ』東京創元社、2016 この前に見た舞台「TERROR テロ」の脚本。こちらはこちらでおもしろい。 上演台本は、これとそんなに違っているわけではなく、ほぼ同じ。ただ、長いセリフが多いので、こちらの方が、内容を反芻でき…

ナボコフのロシア文学講義 下

小笠原豊樹『ナボコフのロシア文学講義』下、河出書房新社、2016 ナボコフの下巻のほう。まあ、上巻もすごかったが、下巻はそれ以上にスーパーすごい。 上巻の方では、ドストエフスキーがめちゃめちゃ蹴られていた。こっちではゴーリキーだが、ゴーリキーは…

ナボコフのロシア文学講義 上

ウラジーミル・ナボコフ(小笠原豊樹訳)『ナボコフのロシア文学講義』上、河出書房新社、2013 これは傑作。もとは、TBSブリタニカから、1982年に出ていて、それが新装版として92年に再版され、その後、河出書房新社から2013年に出た。巻末に若島正が解説を…

ガリレオの生涯

ブレヒト(谷川道子訳)『ガリレオの生涯』光文社古典新訳文庫、2013 これは人に勧められて読んだ本。でもおもしろかった。 タイトルは「ガリレオの生涯」だが、岩波文庫(岩淵達治訳)はガリレイの生涯になってたなー。どっちでもいいけど。 話は、ガリレオ…

病む女はなぜ村上春樹を読むか

小谷野敦『病む女はなぜ村上春樹を読むか』ベスト新書、2014 あっちゃんの村上春樹批判本。あっちゃんは、『反文藝批評』(2003)でも村上春樹批判をしているのだが、こっちはさらに手厳しい。 まず村上春樹がノーベル文学賞を取れるのか問題。あっちゃんが…

紙の砦

川村湊『紙の砦 自衛隊文学論』、インパクト出版会、2015 帯によると、「世界初の自衛隊文学論!」となっている。そう書いてあるということは、いままでに自衛隊を扱った小説の評論本はなかったということなのだろうが、いろんな意味で中途半端な本。 まず著…

戦後SF事件史

長山靖生『戦後SF事件史 日本的想像力の70年』河出書房新社、2012 『日本SF精神史』の著者による、日本SF史。労作である。 戦後すぐの時点から、現代までの通史として書かれているし、狭い意味でのSFだけでなく、読売アンデパンダン、サド裁判、アングラ演劇…

ロハす事典

能町みね子(編)『ロハす事典』ブックマン社、2009 これはかなり笑えた本。能町みね子は編者となっているが、実際は「能町”スローライフ”みね子」と、担当編集者の「山口”オーガニック”山子」の共著。適当にいろんな単語を取り上げてきて、それが「ロハス」…

日本恋愛思想史

小谷野敦『日本恋愛思想史 記紀万葉から現代まで』中公新書、2012 あっちゃんの新著。核心になる主張自体はこれまであっちゃんが言ってきたことと変わらないが、その論証を古代文学から現代までの日本、西洋、場合によってシナの文芸作品を博捜してやり遂げ…

文学賞の光と影

小谷野敦『文学賞の光と影』、青土社、2012 あっちゃんの「文学賞」本。芥川賞、直木賞にはじまり、ノーベル文学賞、新潮社関連の文学賞、作家と学歴、女性作家についての章がたてられていて、とにかくどの文学賞をどの人がとって、その人は受賞後どうなった…

だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ

都築響一『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』、晶文社、2008 都築響一の書いた書評を集めた本。古いものだと1993年くらいからあるが、1999年になってから朝日新聞で書いていた書評が一番多い。原稿の長さからみると、日曜版の書評欄の中…

宇能鴻一郎と会って

平松洋子「宇能鴻一郎と会って」、『オール読物』2011.10月号 文芸誌はまったく読まないし、この雑誌もはじめて読んだ。というか買った。理由は平松洋子のこの記事が読みたかったから。宇能鴻一郎の小説を目にしなくなって何年たつかわからないが、こういう…

ライトノベル「超」入門

新城カズマ『ライトノベル「超」入門』、ソフトバンク新書、2006 ライトノベルをほとんど、まったく読んだことのない人向けのライトノベル入門書。ライトノベル各作品の紹介や書評といったことよりも、ライトノベルの概念、歴史、手法、隣接するほかのオタク…