ガリレオの生涯

ブレヒト(谷川道子訳)『ガリレオの生涯』光文社古典新訳文庫、2013


これは人に勧められて読んだ本。でもおもしろかった。

タイトルは「ガリレオの生涯」だが、岩波文庫(岩淵達治訳)はガリレイの生涯になってたなー。どっちでもいいけど。

話は、ガリレオに仮託して、科学者の社会的責任を突っ込んでいくもの。ガリレオの弟子、教皇元老院議員、異端審問官らのやりとりが続く。ガリレオは何も知らない無垢な学者というわけではなく、エゴイズムの塊で、寝技もできる人。パトロンもその時の都合でどんどん変える。

しかし世渡り上手とは言っても、所詮は学者。自分の意見を適当に変えられるということはない。異端審問にかけられそうになって、黙らされるのだが、ガリレオ、まじめな人なので、他人に文句をいうのではなく、自己批判に徹している。

学者というもの、そうでなければいけませんね、というか、結局筋を曲げて、権力に仕えると、こういうろくでもないことになりますねという本。

戯曲としてもおもしろい。考えさせられた。