国立国会図書館本

クム(本山賢)「国立国会図書館本~サブカルからみる納本制度~」、くむ組む vol.1、2011

同人誌作家の立場から、国立国会図書館納本制度考える本。基本的な前提として、国立国会図書館への納本は、「頒布を目的として相当部数作成された」出版物が対象となっており、この定義を満たす出版物は同人誌といえども対象になる。

また、平成12年の法律改正で、CD やDVD も納本の対象となっているので、音楽CD やゲームも国会図書館の納本対象となっている。さらに個人が国会図書館に対して、寄贈という形で納本行うことも可能である。

出版物が納本の義務があり、現実にその義務はきちんと履行されていないということは知っていたが、書籍の納本率が88%なのに対し、音楽および映像資料では39%、政府刊行物の中でも、市販されていない資料の納本率は46%、都道府県および政令指定都市の出版物の納本率は42%しかない。びっくりである。

この本の著者は、コミックに関して実際の納本率を自分で調査している。アキバブログで、平成22年12月に取り上げられた72冊のコミックの中で、国立国会図書館に所蔵されているのは46冊。つまり64%。

この72冊については、NDL 請求記号がついているかどうかがチェックされているが、魔法少女リリカルなのは2011年01月号、ミライカナイ一巻、俺の妹がこんなに可愛いわけがない3巻、涼宮ハルヒの消失 通常版、エロ漫の星上下巻、などが所蔵されていない。大手出版社から出ている漫画本であっても、実際には少なからず所蔵されていないケースがあるということ。

他にも、実際の納本手続きの体験談、国立国会図書館東京本館の参観記など、役に立つ事は色々書いてあった。著者には非常に感謝。