学校では教えてくれない！国語辞典の遊び方

サンキュータツオ『学校では教えてくれない！国語辞典の遊び方』、KADOKAWA、2013


国語辞典を読み倒した本。非常におもしろい。著者は「学者芸人」のサンキュータツオ。大学院での専門は日本語学でだから、この本はホームグラウンドでの本。

この本が説いているのは、「国語辞典は使い、読むもの」ということ。語の意味の微妙な違いだけが重要なことではなく、国語辞典のそれぞれが、編者の日本語に対する「考え方の違い」を反映していて、国語辞典のそれぞれが日本語のいろいろな姿になっている。だから、自分の日本語を豊かにしたいのであれば、複数の国語辞典を使い分けるべきということ。

現在販売されている主要な国語辞典を網羅して、具体的に語義、用例、辞書ごとのフォーマットの違いがよくわかるようになっている。それだけでなく、国語辞典の編者の立場がどういうものか、誰が編者であるかが辞書をどれだけ違うものにしているかについて、立ち入って書かれている。当然、版ごとの違いも重要。今では出版されていないものについても書かれている。

『基礎日本語辞典』角川書店の著者、森田良行へのインタビューが載っていて、このインタビューひとつとっても、著者の国語辞典愛がほとばしっている。

巻末の辞書関連本リストも、非常に興味をそそられる。読み物としても、国語辞典ガイドとしても、よく書かれた本。