図書館で調べる

高田高史『図書館で調べる』ちくまプリマー新書、2011


著者は、神奈川県立川崎図書館の職員。図書館利用のノウハウ本。

いろいろおもしろいところがあったが、自分としては「検索の世界」の項目が特に興味深く読めた。コンピュータ検索のいろんなティップスが載っていて、それも参考になったのだが、電子情報とめくる行為について考察した部分には納得。検索エンジンの検索結果をブラウズするのと、図書館の書架をながめて気になった本を取って眺めるのとでは、情報の残り方、理解の仕方に違いがあるという話。確かにそのとおりで、大きな公共図書館や研究図書館で書架を探す経験は、コンピュータ検索では代替できない。

とはいえ、そうした図書館が家から簡単にあるかどうかが重要だし、そうした図書館でも閉架書庫においてある本が多いことはよくあるので、よい図書館を利用できること自体が特権的なこと。コンピュータ検索は、資料調べを便利にすることで、図書館利用の機会が少ない人にとっての格差を少しでも縮められる行為。

他のところでは、やはり著者が調べ物をしていくプロセスの実例が参考になった。知っている分野でもそうだが、特によく知らない分野だと図書館員のこういうノウハウは貴重。