翻訳のむずかしさ

神西清『翻訳のむずかしさ』


ロシア文学翻訳者として著名な神西清のエッセイ。はじめに、韻文の翻訳は日本語ではうまくいかないという話をしている。それはそのとおり。

著者が批判しているのは、「単色版式翻訳」。つまり直訳。文芸作品の直訳はありがたくはないが、ピントが合っているだけで、白黒にしかならない翻訳はこまると言っている。翻訳の悪例も載っている。

それはわかるが、どのへんからが許せないのか、著者はどうやってこの垣根を乗り越えたのか、もともとセンスがあったのか、そのへんが知りたいのに。