翔ぶが如く 3

司馬遼太郎翔ぶが如く』3、文春文庫、1980


だいぶ間が空いたが、『翔ぶが如く』の3巻をやっと読めた。これもほぼ主役は西郷で、太政官の廟議がずるずると征韓論棚上げになり、西郷ほかの参議たちが辞職する。これだけで半分以上のページ数をとっている。

太政官といっても、実態は薩長に土肥が少し入っただけの個人の集合体で、特に陸軍は薩摩の比重が大きい組織だったから、西郷とその手下(桐野利秋ら)がやめてしまうと、穴だらけ。警察も同じ。これを、山県有朋川路利良らの人々が、長州やその他の旧藩の人材で埋めていく。太政官大久保利通が仕切ることになっていく。このプロセスが3巻の内容。

西郷のキャラは屹立していて、大久保はあいかわらずよくわからない人なのだが、山県有朋川路利良に加えて、木戸孝允岩倉具視黒田清隆らの脇キャラにそれぞれの魅力があり、読んでいてあきない。

終りの方で、板垣退助らが、民選議院をつくる方向に動く話がやっと出てくる。4巻がたのしみ。10巻の小説だが、中だるみがぜんぜんない。