東京八景

太宰治『東京八景』


これは太宰のダメ人間っぷりが(またまた)露骨に出た作品。というか、この小説に出てくる「H」は、最初の妻、小山初代だろう。

原稿のことといい、失敗した新聞社への就職といい、大学を卒業できないことといい、ダメダメだらけ。そして、えんえんと続くその言い訳。これですら、「小説」として書いているのだから、本当のことではなく、人に見せるためのもの。

ちゃんとした伝記を読めば、この小説の内容と、実際の生活の落差が書かれているのだろう。しかし、これはこれでちゃんと成立している。読んでいる自分もつらいけど。