民主主義の死に方
スティーブン・レヴィツキー、ダニエル・ジブラット(濱野大道訳)『民主主義の死に方 二極化する政治が招く独裁への道』新潮社、2018
これはけっこう書評にも取り上げられ、話題になっていた本。しかし読んでみるとバカっぽい。
前半の事実の叙述部分はそれでもおもしろいところがあり、それは、「アメリカの民主政治を守ったのは党幹部によるボス政治」、「民主・共和両党の距離を縮めていたのは、黒人排除のエリート支配」とはっきり書いてあること。
これはよい着眼だと思うが、著者の二人はとにかく民主党支持の「リベラル」なので、「みんなで協力してトランプを打倒しましょう」みたいなことで終わらせてしまっている。なぜトランプが出てきたかの分析(それは、けっこうちゃんとできている)の方が大事なのに。
要は、民主党がニューディール連合で支配連合を作った後、共和党は逆にそこに入らない保守派を糾合して逆連合を作った。それがレーガン政権から後の共和党。つまり争点は、少数人種、移民のような妥協のきかない問題。それを続けていたからトランプが出てきたというもの。
トランプが退いた後も、左派は同じようなことをするかもしれず、結局間をとって妥協ということはどんどんできなくなる。まあ、アメリカも遠からず終わりということ。