村の学校

ドーデ(鈴木三重吉訳)『村の学校』


これ、青空文庫では「実話」と書いてあるのだが、読んでみるとどうも実話っぽくはなく、明らかに「最後の授業」の習作っぽい。「ハメル先生」が辞めたあとにきたドイツ人教師の「クロック先生」の話。

「最後の授業」が、露骨な宣伝でも、それなりに小説として余韻を残すようにできていたのに対して、こちらは本当に露骨な反ドイツ主義。「ドイツ語なんか、泥棒の、人殺しの言葉」と登場人物に言わせている。クロック先生も、ほぼサディストみたいな勢い。

これでは教科書には載せられない。まあ愛国文学にも、出来の良し悪しが。