書狼書豚

辰野隆『書狼書豚』


仏文学者の辰野隆のエッセイ。「悉く書を信ぜば書なきに如かず」の出典を知りたかったのだが、それはわからず、長谷川如是閑が、これをもじって、「悉く書を信ぜざれば書あるに如かず」と言っているということだけわかった。辰野隆は、「蓋し真に書を読む人の体験でもあり、達人の至言」と激賞している。

書狼は普及版の、珍本ではないものを乱読しているというようなことで、書豚は、収書癖が行くところまで行っている人のこと。自分は両方だと言っている。

あとは、『ポン・ヌッフ橋畔、シラノ・ド・ベルジュラックと野師ブリオシエの猿との格闘』というフランスの稀覯本を著者が手に入れて、それを本好きの友人の前でちらつかせたら、野獣に食いつかれたように持っていかれたというおはなし。こっちは、仏文学者ではないので、この本の価値がわからない。大きな書庫があるだけでもうらやましい。