蒲壽庚の事績
桑原隲蔵『蒲壽庚の事績』
このタイトルになっている人は、宋代から元代、だいたい13世紀に生きていたおそらくはアラブ系の商人。宋の広州、泉州、杭州あたりは大きな貿易港となっていたが、そこに住んで南方、インド、アラブとの交易をしていたのはアラブ人商人。
蒲壽庚もおそらくその一人で、長く宋に住んでいた。モンゴルが宋を圧迫してきたときに、両方に勧誘されていたが、結局モンゴルにつき、南宋が滅びる一因をなした。元の統治下では非常に出世し、正二品にまで上がった。外国貿易の仕切りも任されていたので、非常な財産家。
おそらく対日侵攻にも関わっていて、元代にはその一族は栄えていた。しかし明代になると官途につくことを禁じられ、そのまま一族は煙のように消えてしまった。
前近代中国の外国貿易が少しわかって、ありがたい。