先生三人

太宰治『先生三人』


これはエッセイ。太宰治の文学上の師というのが三人いて、それが井伏鱒二佐藤春夫菊池寛だという。もともと、中條百合子が文学界の封建的な徒弟制度を告発した文章があって、それに応じて書かれたもの。

徒弟制度はあるのだが、太宰治、先生とあがめておきながら、実際にはまるっきり甘えて先生を利用している。妻だって先生の井伏鱒二に紹介してもらったのだし、出版の斡旋はもちろん、家までもらったり、もうやりたい放題。

これだって、公開されたものだし、井伏、佐藤、菊池も、笑ってはいただろうが、怒ってはいないだろう。甘え上手は、女だけではなく、男にも通じていたということ。