接吻

斎藤茂吉『接吻』


エッセイと論文の中間みたいな作品。道端でベタベタなキスをしている男女(ドイツで)を見たという話から、キリスト教の歴史でキスは昔から出てくるということになる。

では日本ではどうかといえば、当用の聖書では、接吻の語を「くちづけ」と訓じているが、これは聖書の翻訳ができてから後のこと。漢訳聖書では、接吻とは書かずに「親嘴」と書いている。

昔から口づけというものがなかったのかといえば、これは「口吸い」ということがあった。これはセックスの技の一つ。ただ、平安以前の歌集にこのような用例はなく、豊臣秀吉が手紙で書いていたとか、江戸時代の本には、とか、そういう用例。ただ、宇治拾遺物語には出てきた。

あとは近代以後の用例。これは西洋のキスを輸入したもの。